執行猶予3年


もうすぐお盆。
そんな暑い日の夜。
夜10時。
仕事が終わって、
やっと家。
原は例の如く居るわけで。

最近原が寄生虫に見えてきた。


「お帰り~。
遅かったじゃん。
腹減った。」

「は?まだ飯食ってねえの?」

「だって作れないし。」

ぶっ殺したくなってきた。
まぁ、
明日には、
さすがにいくでしょ。
そう信じた。

夕飯の用意をしてると、
原が後ろから抱きついてきた。


「ねえ、一愛って、
何個バイト掛け持ちしてんの?」

「二つだけだよ。」

「へえ~。」

それだけ聞いて、
離れていった。

「何?」

「別に。」



明日は、
滞納してた家賃を払わなきゃ。
やっとまとまった金が手に入った。
おかげで残業の連続。
今日はもう遅くて、
振り込み代がかかるから、
明日、
珈琲のバイト行く前に振り込もう。
10時までに行けばいいから、
余裕だ。

そう思って、
6万円をバッグに入れて置いてた。


その日は何事もなく寝た。

疲れてた俺は、
もう多少の物音じゃ起きない。
強盗が入ってきても起きないだろう。
そんな疲れた、
暑い日の夜だったのを覚えてる。




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