太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】


――明朝。

トキは真白な白無垢に袖を通し、その手を引かれ外へ出る。

嫁入りとあって、通りには人だかりができている。


寛治はきっと、この中にいるに違いない。


トキは伏せていたその顔を上げた。

昨晩の月のごとく、その顔は誇り高く輝き、前を見据える。

そして淡く微笑んだ。


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