R -gray*dearest-
1章

prelude





灰色。

白と黒の間。

アタシはその色が好き。

一番好き。

好き。



白く潔白に生きるのも、

黒にドップリと浸かって、
闇を歩いてみるのもいい。

灰色なら、
両方できる。


人は誰しも

片一方だけでは生きていけないのだから。









曇天

雲の切れ目から墜ちてくる、
冷たい雨も好き。




いつかアンタも言ってた。

オレも。

って。



アンタとの共有点。

誰ともダブらない特別。

特別=存在価値

アタシだけの特別。






オレ、今光ったやつも好き。

そう言ってアンタは、
灰色のソラを照らした閃光、


雷を指差した。



また特別。
共有の特別。


アタシも好き。








アンタは言った。

淋しそうな顔をして。



オレはきっと、
ずっとこの先灰色なんだ。


でもいつか、
白にはなれなくなる。


だから、
その時は照らしてくれよ。

さっきみたいに。

一瞬だけでも良いから。



…オレの光になれよ。







アタシは拒まない。

アンタが唯一の繋がりだから。

アタシは拒まない。

アンタに付いていくって決めたから。

アタシは拒まない。

アンタとの特別が、アタシの存在価値だから。

アタシは拒まない。

拒まない。





だからアタシは、

灰色のアンタを照らす


光になる。







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