ヒメ恋~Last Love~

美海は目がパッチリ二重で、背中まであるサラサラストレートロングの黒髪が、彼女の白い肌を一層引き立てていた。

背もスラッと高く、モデルのような抜群のプロポーション。

街を歩けば、すれ違う人も振り返るほどの美人だ。


その上性格も気取ったところがなく優しく、誰からも好かれる女の子だった。

周りの男たちが騒ぎ始めたから、美海に変な虫が寄り付かないように、できる限り学校では美海の近くにいるようにした。

まるでシスコンだと自分に笑ってしまうくらい、休み時間になると美海を迎えに行ったりして。


でも、オレは美海のことを本当の妹のように大事に思っている。

人を信用していないオレだけど、美海のことだけはなぜか信じられたんだ。


だけど、そんな過保護なオレの行動が原因で、美海をオレの『彼女』だと勝手に勘違いした取り巻きの女たちが美海を呼び出したと聞いた。

呼び出されたという屋上へ助けに向かう途中、何度も頭の中で繰り返した。


『美海がオレの彼女?』


そんなこと有り得ない。美海は確かに大切だけど、それはただの『女』としてじゃない。

オレの大切な幼なじみであり妹のような存在だ。

ただの女のように、いつか終わる安っぽい関係じゃない。


だから美海にはぜったいに手を出さない。


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