ヒメ恋~Last Love~

「オレが物心ついた時から、母親1人だけで……父親の姿を見たことないんだ」


「……どうして?」


「理由を聞いても教えてもらえない。いつも言っていたのは、オレは愛した人の子供だ……ってことくらい」


それって……

まるで……


「隠さなきゃいけない人がオレの父親。たぶんオレは不倫してできた子供」

「まさか!!」


気付いてしまった。

颯斗さんのお母様は、きっと今のあたしと同じなんだということに。


「たぶん間違いないはずだよ」

「……」


何と言って声をかければいいか分からない。


ううん、あたしに軽々しく声をかける資格なんてきっとない。


今あたしは颯斗さんに、お腹にいる子供の未来を見せられた気がした。


< 282 / 300 >

この作品をシェア

pagetop