ヒメ恋~Last Love~
「ねぇ海里……ドライブ行かない?」
「ドライブ?今から?」
「うん。……海に行きたいな」
「……」
海里の返事がなくなった。
やっぱり彼女がいるから、他の女とこんな時間に2人っきりになれない……って言う?
疑われるようなことはしたくない。
もしそう言われてしまったらどうしよう……。
「ダ……メ……?」
海里の顔を見るのが怖くて、顔をうずめたまま聞いた。
だって、面と向かってハッキリ言われたらあたし、
きっと一生立ち直れない。
「いいよ」
「……え?」
「海、行きたいんだろ?」
てっきり拒否されてしまうと思ったのに、見上げると優しい眼差しであたしを見つめる海里に、あたしの方が言葉を失った。
「いいの?……こんな時間だよ?」
「美海が行きたいって言ったんだろ?いいよ、美海のためなら。連れてってやるよ」
嬉しくて、泣きそうになって、また海里の胸にしがみつきながら
「ありがと」
そっと口にした。
とても嬉しいはずなのに、彼女への罪悪感が今頃になって込み上げてくる。
あたしはこれから、もっとヒドイことをしようとしているのに……。