ヒメ恋~Last Love~

「ねぇ海里……ドライブ行かない?」

「ドライブ?今から?」

「うん。……海に行きたいな」

「……」


海里の返事がなくなった。


やっぱり彼女がいるから、他の女とこんな時間に2人っきりになれない……って言う?

疑われるようなことはしたくない。


もしそう言われてしまったらどうしよう……。


「ダ……メ……?」


海里の顔を見るのが怖くて、顔をうずめたまま聞いた。


だって、面と向かってハッキリ言われたらあたし、

きっと一生立ち直れない。



「いいよ」

「……え?」

「海、行きたいんだろ?」


てっきり拒否されてしまうと思ったのに、見上げると優しい眼差しであたしを見つめる海里に、あたしの方が言葉を失った。


「いいの?……こんな時間だよ?」


「美海が行きたいって言ったんだろ?いいよ、美海のためなら。連れてってやるよ」


嬉しくて、泣きそうになって、また海里の胸にしがみつきながら

「ありがと」

そっと口にした。


とても嬉しいはずなのに、彼女への罪悪感が今頃になって込み上げてくる。


あたしはこれから、もっとヒドイことをしようとしているのに……。


< 60 / 300 >

この作品をシェア

pagetop