【完】イケメン生徒会長は俺様!?
俺たちは今、美綺の家に居た。



もちろん美綺の両親も一緒で……リビングのソファでお互い向かい合わせにして座っていた。



そして、俺たちの間で微妙な空気が流れていた。


誰も口を開こうとしない


長い沈黙が続く。



今日、俺たちが美綺の家に来た理由。



それは……美綺が両親に本当のことを正直に話したいから、と言ったからだ。



そして俺もまた、ちゃんと挨拶をしていなかったら一緒に来た。



さかのぼること30分前。


―――――…



俺たちは美綺の家の前に立っていた。



俺たちは今日、美綺の両親に内緒でここに来た。


繋いでいる手に、思わず力が入る。



美綺は俺の隣りで、しばらく玄関を見つめていた


美綺は何度もインターホンを押そうとしているが、その顔を見ると少しためらっているようだった


「美綺、大丈夫だから。俺がちゃんと側に居る」


俺は美綺の緊張をほぐそうとする。



「……うん」



美綺は頷くと、大きく深呼吸をしてインターホンをゆっくり押した。



ピーンポーン



インターホンが鳴り響く


「はーい」



家の向こうから母親らしき人の声が聞こえてきた


美綺は下を向いて、俺の手を強く握り返した。



足音がどんどんこっちに近付いてくる。



そして―――…



ガチャッ



「はーい」



玄関が開いた。



美綺の母親は俺たちを見て不思議そうな顔をした


そして、口を開いた。



「あら美綺、どうしたの?えっと、隣りの男の子は…」



俺は母親の言葉を遮って言った。



「……美綺さんとお付き合いをさせていただいてます。雨宮流二です。よろしくお願いします」



俺はそう言ってペコリと頭を下げた。



「あら、あなたが雨宮君?美綺の母です。美綺がいつもお世話になってます。よろしくね?」



美綺の母親はそう言うと、ニッコリ笑った。



俺もニコッと笑って、美綺に視線を向けた。



< 313 / 698 >

この作品をシェア

pagetop