夏の桜
 学校の帰り、俺は友達に変な事を言われた。
「駆さ、夏休みくらいからよく一人で森の方行くの見るけどさ、何してんの?」
 ―一人……?
「一人って俺一人ってこと?」
「そうだよ。他に誰もいねーじゃん」
 ―ハクが見えていない。
 信じられないような話だが、俺はとっさにそう思った。
 見えないというより、ハクがこの世には実際に存在しない……。
 なんでかはわからないが、俺はそれ以外考えられなかった。
「駆?どうした?」
 友達に声をかけられて、ようやく我に返った。
「いや、なんでもない」
 そう言って俺は後ろを振り返った。がそこにハクはいなかった。いつもなら後ろからついてくるのに……。
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