Bloody angels
出会い
「たっだいまー!!」
大声で叫ぶが反応はなし。
一緒に住んでいる叔母夫婦は旅行中でしばらくいないのだった。
「・・・くそつまんねぇ・・・。」
そう呟きながら階段を昇る少女―その名を音羽という―
部屋に入ると、リュックをベットの上に投げ捨ておもむろに制服を脱ぎ始めた。
そしてクローゼットの中からオレンジのキャミソールとデニム地のハーフパンツを取り出し、着替えだした。
ふと左手に目をやると、そこには綺麗な傷跡がたくさんあった。
音羽は傷に軽く手を当てて目を閉じた。
まるで過去を封印するかのように。
しばらくして、音羽は目を開けた。
そしてさっきパクった財布をあさる。
「ちっ!そんなに入ってないじゃん。あいつら貧乏だねぇ。」
ぶつぶつ言いながらも、札やらカードやらを自分の財布に移していく。
最後の財布の中身を出し終えた音羽は、空になった財布をゴミ箱に投げ入れ、お気に入りのバックとスケボーを手にし、スニーカーをはいてカウントをはじめた。
「5・4・3・2・1・・・・0!!」
音羽は壁を思いっきり蹴り、窓から外へと飛び出した。
「とうとう夏休みだぁぁぁぁぁ!!」
そう叫びながら軽やかに着地する音羽。
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