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\ は じ ま り /

5月下旬


――2009年5月下旬。



咲とあの人が出逢った日がいつやったかとか、もう覚えていない。

ただものすごく陽射しがきつくて、暑い日やった。

お昼すぎに、何かの集会で運動場へ全校生徒集められていた。


「ねえ、咲ー教育実習の人で、かっこいい人おったあ?」


他のクラスが並ぶのを待っている間、咲の前の優花が話しかけてきた。

そういえば、ついこの間から実習生が咲らの高校に来てる。


「見てへーん。てかかっこいい人とかおんのかな?」


「日本史担当の教育実習生、かっこいいって噂やで!どれやろ~?」


キョロキョロしてる優花を見てたら、咲も気になってきた。

日本史担当ってことは、日本史の先生と一緒におる・・・はずやんな?


「あ!」


日本史の先生、発見。

その隣を見ると、背の高いわりとかっこいい人が立っていた。


「優花!見つけた。ほら、あそこ!」


まだキョロキョロ探していた優花に教えると、優花はしばらくその教育実習の先生を見つめてから眉間にしわを寄せた。


「あれかー・・・かっこいいけどウチのタイプ違うわ」


咲はこんな顔が理想!とかないから、タイプかどうかもわからんくて。

すぐ優花が別の話をしてきたから、教育実習の人なんて頭からすぐ消えた。




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