*Tiara*〜天使の君〜
〜〜〜〜〜


それから三時間ほどたち、少女は白を基調としたシンプルで清潔感のある部屋に寝かされた



女官長アイルは、ベッドに寝かされている少女の傍らに立ち、看病していた



侍医に診せたところ命に別状はないそうだ

が川を流されてきたためか、全身のあざが彼女の白い肌に目立っている



「シリウス様が少女を連れてくるなんて珍しいわね。しかもどこの子かもわからないのに…。」


「そうですね。」

アイルと一緒に少女の世話をいいつかった侍女のミオは返事をした


「シリウス様はこれまで、他国のどんな姫君が言い寄ってきてもまったく相手になさらなかったのに。」


なぜこんな小さな少女に興味をもたれたのだろう

たしかに可愛らしい顔をした色の白い少女だけれど、あの血気盛んなシリウスさまがご自分で運ばれるなどといいだすとは……?


「この少女をどうなさるおつもりなのかしらね…」


アイルは小さくつぶやいた
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