*Tiara*〜天使の君〜




「ティアラ様、陛下はきっとご無事ですわ。落ち着いてお待ちにならなければ。」



あれからティアラは宮殿の奥の部屋でシリウスの帰りを待っていた



「そうね、ミオ。でも……」



ティアラはベッドの端に落ち着かない様子ですわりこんでいた



宴の時には漆黒だった空も、だんだんと白さが増し、部屋の窓には暖かな光が差し込み始めている









この瞬間にもシリウス様は戦場にいる

そう思うと、胸が張り裂けそうになってしまう





シリウス様…

どうかご無事で…







まだあなたのことを私はなにも知らない。


もっとあなたのそばに居て、あなたのことを見ていたい


シリウス様にもしもなにかあったら…







そんなことを考えて、ふと我にかえると不思議な気持ちになる



確かにその気持ちはどこの誰かも知れない自分を助け、この宮殿に住まわせてくれたシリウスを慕う気持ちなのかもしれない





けれど自分の心のなかにあるそれとはどこか違う、切ない気持ち




ティアラは気づき始めていた
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