せぴあなタメ息

ほころぶ溜息


類は、両腕を組んだポーズで、

電車のドアのそばに立っていた。
 
軽くドアに体をもたせながら、外を眺めている。


「どこ行くのか訊かないんだな」

  
類は窓から見える景色から目を逸らせ、

視線で友之を捕らえると、体ごと振り返った。


「訊いたら答える?」

友之はニッと笑った。

「“着けばわかるよ”って答える。」




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