メロディが恋しい言葉達
1
「やっと…始まったか」

暗く狭く、汚い部室の中で、

1人来客用のソファにどかっと腰を降ろした香坂は、右手に持つコーヒーカップから流れる湯気を、

異様に長い睫毛の下の瞳で、冷ややかに見つめながら独り呟いた。

そんな時の香坂の横顔を見ると、時代劇に出てくる美少年剣士のような凛々しさがわかった。

まあ〜一歩間違うと、危ないけど。

「そうですね。もう長いこと、音沙汰がありやせんでしたからね」

中西がうん、うんと頷いた。

「こいつ…才能ないくせに、いろいろ書いてますからねえ。忙しいんでしょ」

一応表面だけでも、同情して見せる河野輝。

「仕方ないんじゃないの。こいつに、才能がないんだから。見てよ。こいつの話、野いちごで浮いてるし」

みどりは、容赦なしにしゃあしゃあと言う。


「そこまで、言うこともあるまいて。再び活字の世界に戻ってこれたんだから…。それでよしにしょうじゃないか」

と制するように言うと、香坂はソファから立ち上がり、正面(?)を向いた。

「と言うわけで、皆さん。お久しぶりです。初めての方は、よろしくお願いします」

香坂は頭を下げ、

「今回の事件は、1人の女生徒の依頼から、始まりました。その時、我々にもたらされた一枚の写真が、引き金になり…」

そこまで言って、香坂はフッと笑い、

「野暮でしたね」

頭を下げ、改めて、読者のみんなに言った。

「それでは、学園情報倶楽部をお楽しみ下さい」


「お楽しみくださああああい!」

唐突にキーンと響く、女の子の声がした。




「誰だ?今のは」

「さあ」

中西と輝は、頭を抱えた。


「では、始まります」

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