ふたり



「結」



病室に入るとオレに背を向けて



ゴシ ゴシ
結は涙を拭いた




ベッドの横に
丸椅子おいて座ると



結は振り返って




「先生、なんて言ってた…?
やっぱり私の身体のせいで流産しちゃったの……?」




「結」



哀しげにオレの目を見つめる結の小さな手を握った




「誰のせいでもないよ

そんな『私のせい』なんて結に言われたら、オレ哀しいよ」



「………柊ちゃん……」




「結は身体を安静にして
オレの大切な結の身体だよ

余計な事を考えずに身体を大切にしてくれ」



片手は結の手を握り


もう一方の手で結の頭をなでる




結は目を閉じて




「柊ちゃん………赤ちゃんどこに行っちゃったのかな……」



か細い声で結は言った




「赤ちゃん……いつかまた私のお腹に帰って来てくれるかな……」




オレは結の手を両手で握り



涙をこらえ
心の底から奇跡を願った



「帰ってくる

絶対に戻ってくる………

奇跡は必ず…また起きるよ」



結はオレを見て今日 病室で初めて笑った


「ありがとう。柊ちゃん」



大丈夫だよ 結



大丈夫



その笑顔を………



オレが絶対 守るから……



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