誓い
しばらく何も言えなくて
黙っていたけれど、
やがて何か話さなければ、
と気づいて口を開いた。

「…さっきは、その…ごめん。
具合悪くて、
千依に当たっちゃった。
許して。」

千依はぼそっと呟く。

「…それならそうと
早く言ってくれれば
良かったのに。」

「本当に、ごめん。」

「…もう、しょうがないなぁ。」

「ありがとう、千依。」

「ただし、これからは
ちゃんと言って。
隠そうとしないで。
私だって圭ちゃんの
力になりたいし、
側で励ましたい。
それには今圭ちゃんが
どうしてほしいのか
解らないとダメだよ。」

「…解った。ちゃんと言うよ。」

「約束よ。」

こうして、二人の約束が
新たに追加された。

これは決まりごとに近いが、
守ろうと思った。

もう二度と、彼女の
悲しむ顔は見たくないから。

それから圭吾は、
千依に発作を起こした時の
対処について教えた。

千依は真剣に頷きながら、
しっかり聞いてくれた。

嬉しかった。
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