がんばれ!ノザワくん
「ところで、これどうするの?」

ノザワくんが、ダンボール箱の中を覗いてる。

「賞味期限過ぎてるやつもあるよ~」

「1日2日くらいなら、大丈夫ですよ」

「捨てるのはもったいないしね」

「じゃあ、ノザワ課長持って帰ります?」

「俺は、夕飯は食べないから」

「朝食にでも」

「朝食はパンって決めてるんだ」

そういえば、ノザワくん、食べてなかったよな。

「鍋と缶切りありますから、今からあっためてきましょうか?」

「いや、遠慮しとく」

…逃げたっ!

「けど、これこんなに捨てたら、もったいないよな~。誰かもらってくれないの?」

「誰ももらってくれないんで、実家帰る時に、実家の犬に食べさせますよ」

「え?こんなの食べて、ワンちゃんおなか壊さない?」

「実家の犬は、昔から人間の残飯食べてましたから、このくらいなら食べると思いますよ。それだけだと栄養偏るんで、ドッグフードも混ぜてますけど」

「え~、それじゃ、ワンちゃんかわいそうだよ~!ドッグフードだけの方がいいよ~!」

ノザワくんの自宅では、モモちゃんという名前のプードルを飼ってるらしい。携帯の待受画面にしてるほど、溺愛してるんだよな。

「うちのモモちゃんには、絶対にこんなの食べさせられないよ~!」

…誰も、ノザワくんの家の犬の話まで聞いてないから。

「玉ねぎが入ってなければ、大丈夫ですよ」

そう言うよねちゃんに、

「のどに詰まらせたら怖いからね」

と、ノザワくん。

…ひょっとして、犬に玉ねぎあげちゃいけない理由、知らないのかな?

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