がんばれ!ノザワくん
その数日後。

友達と伊香保に行ってきたよねちゃんが、「湯の花まんじゅう」を会社の人たちに買ってきた。

「お、伊香保の温泉まんじゅうだね!」

アフターサポート担当のヤミー主任が、嬉しそうに受け取ってた。

「個人的には、伊豆の温泉まんじゅうが好きなんですけどね。甘さ控えめで」

「うん、俺も好きだよ。うまいよね」

「湯の花まんじゅうは、黒砂糖の味がするんですよ。実家ではあまり評判良くなくて」

「う~ん、やっぱり、地元の味がいいよね~!黒はんぺんとかさ~!」

ヤミー主任とよねちゃんは、同じ静岡の出身。住んでた場所は全然違うらしいんだけど、群馬で静岡の話ができる人なんてあまりいないらしく、ヤミー主任はよねちゃんと事ある毎に、静岡話で盛り上がってる。

「黒はんぺんの話したら、おでん食べたくなってきたな。う~ん、あの黒いおでんが、懐かしいな~!」

こんなに暑いのに、おでん?オイラには、ヤミー主任の感覚がよくわかんないや。

「いつも、ありがとね~」

そう言ってるのは、アフターサポート担当のおタキさん。みんなからは、「お母さん」と慕われてる、ベテランだ。影の課長なんて言う人もいる。

「おタキさんがアドバイスしてくれたからですよ~」

よねちゃんは、そう言って、湯の花まんじゅうを手渡していた。
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