がんばれ!ノザワくん
「ノ~ザワくん♪」

…気持ち悪いくらいの言い方で、アーマ課長が、ノザワくんのところにやってきた。

「どうしたんですか?」

「イントラのニュース、見たよな?」

「あ、あの、商品回収ってやつですか?大変ですね~、アフターも」

「そう、大変なんだよ。わかってくれるよな?」

「そりゃもう」

「で、大変ついでに、よねちゃんを借りたいんだけど」

「へ?」

「ほれ、顧客データを入力して、本社に報告しないといけないんだよ。でも、うちの人間は、事務処理だけで手一杯だから、ぜひ総括担当の力を借りたいと思ってさ。よねちゃんのあの速さなら、そんなに稼動かからないだろ」

確かに…よねちゃん、パソコン打つのが速いんだよな。すごい勢いで打ってるのを、よく見かける。

6月に、社長が来た時の議事録も、入力自体は1時間くらいで終わってたくらいだ。…テープの声が聞き取りにくかったみたいで、原稿興すのに時間かかってたみたいだけど。

「確かに、よねちゃんなら、大丈夫ですね。いいですよ。どんどん使ってください」

…よねちゃんがいないところで、そんなに簡単に決めていいのかな。



でも、オイラの心配をよそに、配送センターから戻ってきたよねちゃんは、

「え?入力ですか?いいですよ」

と、あっさり返事をしていた。
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