四季〜二人で歩む季節〜


「お前、家何処?」


車に乗り込むなりレンにそう聞かれ、あたしはこの居心地のいい時間が終わってしまうのだと寂しくなった。


「悪ぃけど、俺これから行かなきゃいけないんだ。」

「そっか。」


それからあたしは、自分のアパートの場所を教え、レンは家まで送ってくれた。


「また連絡するから。」


その一言だけで、車はキュンと音を立てて走り去ってしまった。


今度いつ会えるかなんてわからないけど、レンの事だからひょっこり現れるんだろう。


今日は毛布にくるまって温まらなくちゃいけない。


もうすぐこの北国にも桜が咲き始める。
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