アタシと王子様


「涼介…何でここに…」



そこにいた彼女全員が先輩の登場に俯いた。



珍しく怒りを露にしたように彼女達を睨むとあたしに近づく。



「光ちゃんに聞いたんだ…」



「光が…」



あたしが連れて行かれた後、すぐに先輩を呼びに行ってくれたんだ。



「平気…?俺のせいでゴメン…」



「涼介…」



「何やってんだよ?言いたい事があんなら俺に直接言え!それから…」



「……」



あたしの背中に手を添えながら進んでいた足を止めた。



「綾の話は、もうするな」


…―綾?



凄みのある声…―



「行こう…」



何も言わず頭を下げるとそこから立ち去った。


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