左手は常闇を這う【短編】


私が憶えていることと云えば、切り落とされる際の手首の骨が濁音を伴って、躯中に内側から駆け巡った嫌な反響音だけだった。


ただ“彼”がその時持ち得る全ての力を込めた最初で最後の一刀を感じることが出来たような気がする。


あくまで、気がするというだけのことだが。




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