Melody Honey
「そう言われたら、俺だって言ってやる」

詩音がそう言った瞬間、彼と目があった。

恥ずかしくてすぐに目をそらしたかったけど、できなかった。

止まってしまったかのように、私は詩音を見つめていた。

「愛してる」

官能的な唇が、そう言った。

「あおいを、愛してる」

「――んっ…」

これ以上言わせないと言うように、唇を塞がれた。

私も、詩音のことを愛してるよ。

口で言うことができない代わりに、頭の中で言った。

果てるまで、私は何度も頭の中で言い続けた。
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