Melody Honey
それは一体、どう言う意味なのだろうか?

そう思いながら詩音を見あげると、彼は悲しそうに口元を歪めていた。

こんな顔の詩音を見るのは、初めてだった。

どうしたの?

見たことがない詩音の顔に戸惑っているのか、声が出てこない。

何でそんなにも悲しい顔をしてるの?

その場から逃げるように、詩音が急に歩き出した。

「きゃっ…」

腕の中にいた私は転びそうになりながらも、何とか歩調をあわせた。

千晴さんの方に視線を向けると、彼女はうつむいていた。

家の中に入ると、腕を離してくれた。

「詩音?」

声をかけると、
「何だ?」

いつもの詩音だった。
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