Melody Honey
「ああ、くるよ」

詩音が答える。

「じゃ、またね」

千晴さんは微笑むと、ドアを開けた。

わたしたちは千晴さんを見送った。

バタンと、ドアが閉まった瞬間、詩音がわたしを見た。

「何?」

「明日から来週まで、休みとれるか?」

「はっ?」

驚いて聞き返す。

「だから、有給休暇とれるかって」

ああ、そう言うことね。

「とれることはとれるけど、結婚式は来週でしょ?」

「久しぶりに、弟と話そうと思ってるんだ」

「弟、さんと?」

「それから、少し観光するか?」

「えっ!?

いいの?」

「行きたいところに連れて行ってやる」

得意気に言うと、詩音がニヤリと笑った。
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