Melody Honey
行ったとしても、何にもなかったもん!

それを桐生に言えたら、どんなに言いことだろう?

桐生の目が怖くて、私は言うことができなかった。

こう言う状況を、“ヘビににらまれたカエル”って言うんだろうな。

何も言い返すことができない私は、桐生に気づかれないようにため息をついた。

長い沈黙が続く。

「まあ、いい」

沈黙の後で、桐生がため息混じりに言った。

「今日は早く帰れ。

2日分仕込んでやる」

そう言って、桐生はニヤリと口角をあげた。
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