サイレントナイト～赤くて静かな夜～

謎の少女

階段を降りると、右は住居用の玄関、左は工場になっている。

オカジマの家は、日本の自動車業界の最大手、「ANDOH」などの、自動車部品の製造を請け負っている。

「ANDOH」といえば、戦後すぐに開発された低燃費の自動二輪を代表とし、今や世界的な規模を誇る自動車メーカーである。

その自動車や自動二輪に内蔵されている、内部の部品整形には、町工場の高い技術力が必要になるのである。

オカジマの生まれる10年ほど前の「バブル」と呼ばれた時期は、工場も羽振りがよく従業員も10人ほどいたらしいが、
バブルがはじけ、
100年に一度といわれた平成の大不況を引き金に、業績は悪化の一途を辿っていた。