サイレントナイト~赤くて静かな夜~

オカジマ

>>>

耳障りな電子音が、部屋に響き渡った。

心地よい夢の世界から、気だるい現実に引き戻される倦怠感に、オカジマは激しいうっとうしさを感じる。

重い目をなんとか開いて携帯電話に身を乗り出すと、姫芽(ひめ)の温かい肌が腕に触れた。

「オカっちおはよ」

眠そうな目にうっすら笑みを浮かべ、姫芽は甘えた声でオカジマの短い髪の毛に触れた。

「おう」

オカジマは携帯電話の着信履歴の「優介」の文字を確認すると、姫芽の厚い唇にキスをして再び布団に横になった。

「ちょっと~一回だけ?」

そう唇を尖らせ、姫芽はうつ伏せで寝ているオカジマの体を仰向けにしようと、熱い体を押し付けた。

「オカっち~」

姫芽は昨日の晩のままの裸の体でオカジマの首筋にキスをした。

「ねえオカっち、もう一回しよ」
< 6 / 95 >

この作品をシェア

pagetop