KEEP OUT!!

 ぱくん、と携帯を閉じてわたしは空を見上げた。

 ねずみ色の雲は天井の角にしまい込まれて、清々しいライトブルーが換わって拡がっている。

 ほんの少しだけ髪を撫でる風が焼ける肌に程好く、

「うん……」

 つっ、とつま先にわたしは力を込めた。

 気付けばずいぶんと長い時間ピアニッシモにいたようで、ちらほらと下校をしている学生が目につく。

 そんな中、視界に入ってきたのは出身中学の制服だった。

(なんだかすっごい昔のことみたい……)

 まだようやく半年が経とうとしている程度だというのに。

 変な感じ。

 本当なら中学を卒業後は、別々の高校になっても不思議じゃなかった。

 わたしの成績じゃ今の高校が限界ラインだったけど、ふたりはそうじゃなかったから。

 なのに……。

「ちょうどこのくらいの頃だったっけ」

 ふたりの進路を聞くのが怖くて、ひとりで勝手にギクシャクしてたわたしに、

『私のいく高校は紗智ちゃんのいく高校って決まってるんだからね』

『いまらさバラバラってのも妙な感じっしょ』

 さも当然のようにいってくれたのだ。

 そんなふたりのやさしさに甘えてばかりじゃいられなくって。

 せめて八重ちゃんが興味を持ってた料理研究部があるこの高校に入れるように猛勉強。

 意外にも3人の中で1番頭の良い亮平にみっちりしごかれながら、ね。

 かくいう亮平。

 カレにも本当にこの高校でいいのか聞いてみたところ。

『青春を謳歌(おうか)するんなら、やっぱりベストパートナーが必要っしょ』

 なんてことをいってた。

 いかにも亮平らしい。

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