本庁
最終章
     FIN
 検察によって起訴され、裁判官三人と裁判員六名、それに弁護士が参加して、その年の九月美和子の裁判が始まった。


 美和子は一連の事件に関して、法廷という場で素直に罪を認めた。


「……ああするしかなかったんです。無念の思いで死んだ父の恨みを晴らすには」


 美和子はまるで詫(わ)びるように証言する。


 一言ずつ言葉を選ぶように……。


 そして第一審の審理が済んだ後、三人の裁判官のうち、主任を務める裁判官が、


「被告人を無期懲役とする」


 と言って、その判決に至った要旨を述べた。


 裁判官と裁判員の合議では、罪状を否定しなかった美和子に刑を軽くするよう促す意見が多数出たようだ。


 それに肝心要の裁判官もそれを察知していて、酌量(しゃくりょう)され、刑が軽くなった。


 最悪極刑などにはされずに、無期徒刑(とけい)という形で、判決が下された。

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