本庁
第11章
     11
 確かに美和子を疑おうと思えば、疑うことも出来るし、山口もあの婦警がコンピューターを使って、各場所に指示を飛ばしたと思えば考えやすい。


 だが、さすがに一緒のフロアで、ある程度の年数一緒に働いてきた婦警である。


 正直なところ、あまり疑いたくはなかった。


 疑惑の本丸が仮に美和子にあるにしても……。


 そして山口も安川もとりあえず筧と椛田に要請したピーズファイルが手に入るのを待つことにした。


 そのとき手元にあった無線機が鳴り始める。


「大伴良三を殺害したホシがたった今、六本木南署に自首してきた。マル被の氏名は本松要一郎。都内在住の無職男性だ」


 ――了解。


 山口が頷き、無線を切る。


 捜査線上に本松要一郎という人物が新たに浮上してきた。


 都内在住、しかも無職。
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