本庁
第12章
     12
「今戻りました」


「ああ、お疲れ様です」


 たまたま署の刑事課フロアに公安所属の那珂川警部が来ていて、山口に一声掛けた。


「あ、那珂川君か」


「山口さん、お久しぶりです」


 那珂川と山口は普段からほとんど面識がないのだが、那珂川の方が今回の積荷事件のヤマと一連の殺人事件に関して何かを掴んでいるらしく、わざわざ新宿中央署まで来ていた。


 警視庁公安部は地下二階の一番奥にある。


 国策に則(のっと)り、国家にとって不都合な人間たちを取り締まるのが目的だ。


 那珂川はその部署ではチーフで、階級は警部だった。


 警察も捜査で腕を上げれば階級も同時に上げたりする。


 那珂川はつい最近、警部補から警部になった。


 枢軸(すうじく)国家である北朝鮮と、アメリカや日本などの自由主義陣営の国家が緊張状態にある
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