猫と僕と

近付く距離

夏に差し掛かる手前の微妙な暑さの中、宅配便で荷物が届いた。




「おっ、母ちゃん」




段ボールにはたんまり買い占めた野菜やらが入っていた。



「野菜ばっかいらねぇよ。料理もしないし。」


段ボールをほじくり出してお菓子やら、出来合いの物を抜くと残った野菜を見て考えた。



「いつも腐るんだよな…」



ハッと思い付く。



凜……いやいや、倉本さんにおすそ分けするか!



我ながらいい案が浮かんで、上機嫌で玄関を開けた。




「いや…待てよ……」



別に仲のいいご近所でもないし…1回少し会話した程度じゃないか……厚かましくないか……?




玄関の前で段ボールを抱えながら少し考えていると、隣のドアが急に開いた。




「あっ………」



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