僕の白雪姫


瞬は壁に寄りかかって一つため息をついてから話だした。





「姫は……龍にそのれんじって奴がいると身がもたないから助けてって言ってきたらしい。」





ズキンッ…





胸が痛い……
苦しくて息ができない。





目の前が涙で歪んでくる。静かになった陸斗の部屋は……
電話の向こうの衣希の声が聞こえてくる。





ダメだ…。





こんなところで
泣きたくない。
女に嫌われたぐらいでなに泣いてんだよ……。
他にも女ぐらいいくらでもいるだろ…。





ここにいるのが辛くなって無心で陸斗の部屋からでた。





出る前に陸斗たちが追いかけて来ようとしていたけど瞬が止めて陸斗たちが追いかけてくることはなかった。





俺は無心で走り続けた。
走って走って走って……
走ってるのに疲れなくて
ただただ胸が苦しいだけで……。





涙が出てくる。





なんで泣いてんだよ。
違う女と付き合えばいいことじゃねぇかよ!!





俺は気付けば
知らない公園のベンチに座っていた。





自分のケータイを壊して
息を切らして泣いていてさっきまで夕暮れだったのにもう太陽も隠れそうになっている。





なんでこんなに苦しいんだなんでこんなに辛いんだ
なんでこんなに悲しいんだ



こんなに姫が好きなのに……。
迷惑だったなんて……。





あの時瞬が言った言葉が
何度も何度も
自分の頭の中で繰り返されて胸が苦しくなるばかりだった。








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