ほどよい愛
恭汰の家で夕飯を作っていると、携帯が鳴った。

透。

「透?今どこにいるの?自分の部屋?」

「友達と飲んでる」

そういう声は、ざわめく雑音混じりで聞きとりにくい。

「葵も出てこない?慎也も実菜ちゃんもいるぞ~」

「…行かない。明日も仕事だし」

コンロの上の味噌汁の火を止めて溜息。

「酔っ払ってるでしょ。慎也や実菜さんに迷惑かけないでよ」

「…お前みたいにか?」

「なっ!」

「はは。全部聞いてるぞ~!相模さんともうまくいってるんだってな」

「……」

慎也、しゃべり過ぎ。
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