ほどよい愛
二次会が始まっているバーに向かいながら、葵と会える明日の事を考えると、たまっている疲れも軽くなる。

明け方帰る葵を引き止める言葉が見つけられない俺が、週末彼女の部屋で過ごしているのは単に彼女から逃げ道を奪うため。
俺の部屋から逃げる事はできても、自分の部屋からは他にどこにも行く事はできないから。
そして、俺との週末に少しずつ馴染んできた葵の表情も優しく変わってきた。

お前は、幸せか?

無理矢理に近い状況で抱いた初めての夜。
まさに、お前には初めての夜で。

それから、自分の気持ちに折り合いをつけようと必死で過去の悲しみを消そうとしている事。

俺が気付いてるって、知らないだろ?

お前が自分で乗り越えなきゃならない悲しみや不安。
側で見守ってるって、気付いてないよな。
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