ほどよい愛
「透が日本にいてる間に報告しようと思ってたのに…」

肩を落とす私に苦笑しながら

「大切な妹を持ってかれるんだから、機嫌良くなんてできないよ」

恭汰は気にしていないようだけど、今晩の訪問の成り行きがどうなるか、かなり不安…。

「あ…恭汰のご両親にも挨拶しなきゃ」

慌てて言う私を見ると、何だか迷っているような素振りで軽く息を吐くと

「葵と一緒で、両親とも亡くなってるから。ちなみに一人っ子だから挨拶するべき人っていないから」

「亡くなってる…?」

「…そんな顔するな。葵と違って、ちゃんと俺が成人してデザイン大賞の授賞式にも出席してから亡くなったんだから」

ぽんぽんと私の頭を叩く恭汰は私の様子を気にしている。

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