ほどよい愛
にっこり笑いながら誇らしげに言う慎也は、まるで宝物を見せるかのように携帯の待受画面を私に…というよりも気のせいか恭汰の前に掲げている。

画面には、大きな口を開けておにぎりをかじっている女の子。
笑顔でおいしそうに食べていて、とてもいい写真。

「今夜、こいつも来るから。姫との事も言ってるから何も気にする事ないし」

「うん。かわいい人だね。慎也こういう人がタイプだったんだね」

「あぁ、こいつと出会ってそれに気付いたよ」

ちょっと顔を赤くしながらも嬉しそうな慎也。
昔から優しくて懐の広い慎也。彼女さんも大事にされてるに違いない。

「会うの楽しみにしてるね」

「おぅ。じゃ、とりあえず会社に戻るわ。相模さん明日はよろしく」

軽く恭汰に頭をさげると、慎也はエレベーターに乗り込んでいった。振り向いたその顔は、何となく
笑いをこらえているような…。
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