ほどよい愛
どうしても私から恭汰との事を聞き出したいらしい。

「大切にはしてくれるし、優しい。でも。
私の片思いだから…結婚なんてないよ」

雰囲気を壊さないように、明るく言うと慎也は目を見開き

「片思いだと?」

絞り出すようにつぶやく。隣りの実菜さんは心配そうに私を見守っている。

「片思いなわけないだろ?あんなに葵の事見つめて俺に嫉妬して。今日だって、俺に実菜がいるって言った途端表情緩んだし」

その言葉の迫力に押されて、思わず信じてしまいそうになる。

< 53 / 302 >

この作品をシェア

pagetop