ほどよい愛
人との付き合いかたや距離の取り方も、彼女のこれまでの悲しい経験や不安感、諦めからきている事も理解しながら見守ってきた。

本音では、自分の気持ちをそのままぶつけて俺の腕の中に抱えていたい。
今日の出張だって、無理にでも連れてきたかった。

葵の気持ちが壊れてしまう事を覚悟できれば…だが。

「相模さんの部屋に帰った途端落ち着いてましたけどね」

「…悪かったな。お前の彼女、葵に一晩ついててくれたんだろ?」

「そうなんですよ。俺は札幌行くんだし早く帰れってうるさいし。実菜と葵は女同士で仲良くやるとか言って追い出されました」


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