彼女の嘘と俺の嘘
それを知ったおれは、自分から約束しても相手が待っているのかさえ確認しなくなった。
軽薄になっていく自分に負い目を感じつつ、約束は守るというストレスがなくなったおれは身軽になる。
これが嘘を言って約束を破っても平気でいられるネット社会の優越感だと理解した。
サキは約束を守るタイプなのだろうか?
いままでとは違う感触がサキには残った。
特殊な違和感というべきか、おれの心をモヤモヤっとさせる。
冷めてしまったコーヒーを流し込んだが、脳はマズイと判断するだけで働かない。