彼女の嘘と俺の嘘


 友人Aが耳打ちする声が聞こえた。


「ほんとか」

 友人Bはそれを聞いてチャンスとばかりに目を輝かせる。


「いまの嘘だぞ。KちゃんとS先輩が一緒に歩いているところを学校の帰りに見た。しかも友人Aと一緒にな」

 おれは正直に話してやった。


 友人Aが面白がって友人BとS先輩を揉めさせようという魂胆が見え見えだったからだ。


「正義感ぶりやがって!」

 友人Aからそんな言葉を浴びせられた。


 もちろんそいつとはもう友人でもなんでもない。

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