元カレ教師
あたしは彼女に話しかけようとした。
だが…
怯え、そして泣いている彼女への第一声は何処かに飛んでいったように出てこない。
もっとも、あたしがサボろうなんて言い出したのは、山野さんが泣いていて、このまま授業に出るのもどうかと思ったからだ。
だけど、だからといってあたしが山野さんにしてあげられる事は何なのだろうか…
あたし達は暫く、階段の踊り場で固まっていた。
決して熱くも、冷たくもない空気が微妙に空いた2人の空間を漂う。
「ねぇ、滝沢さん…」
その空気に音という新たな空気を注いだのは、あたしではなく山野さんだった。
だが、その彼女の怯えは、今だに残っている。
「何?」
出来るだけ自然に、それを意識して言葉を返した。