元カレ教師


あたしはその場にしゃがみ込んだ。


顔を伏せ、溢れそうな涙を堪え、ただ時が過ぎていった。


「どうかしましたか?」


優しい声が聞こえた。


ふんわりと人を包み込むような、優しくて品のある声。


あたしは暖かさを求めるように顔をあげた。


「あなた、確かみやびちゃんのお友達の…」


見た事のある綺麗な顔


そうだ、この人。


「滝沢、妃奈です。
あの…ご無沙汰しています。」


何だか変な挨拶になってしまった。


ご無沙汰していますって、ふつうもっと親しい人に使う言葉だよね?


「こちらこそ。
妃奈さんがあの子をこちらまで?」


「あ、いえ、あたしはその…たまたまその現場に居合わせただけで、でも、気付いたらここにいて…それで…」


どうしよ。


文章繋がってない。


「そんなにあわてないで。
一緒に来て下さってありがとうございます。
中に入りましょうか。」


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