『契約』恋愛

side:/ YUKINO


見てはイケナイものを見た。
何だかスゴく、胸が苦しい。
やっと名前で呼び始めたっていうのに、何なの…?

元カノを押し倒しているあの状況、風春にとって私はやっぱり“遊び”でしかなかったってことを痛いほど感じさせられた瞬間だった。

屋上から踵を返したあと、教室に戻る。
風春が追いかけて来てくれることを少し期待していたけど、そんな希望もただ虚しいだけで。


「…あれ? 雪乃どうしたの?」


一人で戻ってきた私に、凛が不思議そうに尋ねるけど。


「何でもない。…でも私、帰るから。」


ホントのこと、言いたくない。
さっきの状況を、思い出したくもない。
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