『契約』恋愛

side:/ YUKINO


屋上を飛び出した私は、猛スピードで教室に戻ってきた。
あふれそうな涙を必死に耐え、手のひらで拭う。

そして、机の上に置いておいたカバンをひっつかみ、再び走りだそうとしたとき、あろうことか凛に出くわしてしまった。


「おはよー。…ってあれ?
雪乃どうしたの?」


訝しげに私の顔をのぞき込む凛に、私はぎこちない笑顔を浮かべるしかできなくて。
余計に凛の眉間のしわが深くなる。


「おはよ、凛。何にもないよ、どうもしてない。…じゃあね。」


これ以上凛といたら、何かを感づかれてしまう…
だから少し強引だと思いつつ、凛から視線を逸らして私は再び走り出した。


「ちょっ、雪乃!?」


凛の制止の声を振り切るように走る。
たくさんの生徒が教室に向かう中、私はその流れに逆らうように走り続ける。

飛び出した外にはやっぱり、青い空が広がっていた。
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