『契約』恋愛

side:/ KAZAHARU


あの日、屋上で別れた後から、雪乃の姿が見えない。

それどころか、この三日間学校にも来ない。

心配と不安が募る中、何にも行動に移せないのは、あの日の雪乃の言葉が、表情が、深く胸に突き刺さっているから…。

何が本当の気持ちで
何が偽りの気持ちなのか、
あるいは、今まですべてが偽りだったのか…

あの涙の裏に、何が隠されてるかがわからない以上、下手に動くことなんてできるわけもない。

もし、あの言葉が雪乃の本音だったとしたら…

これだけ日数が経っても、鮮明に思い出される雪乃の涙。そして、それによって否定されるその考え。
俺の頭の中でも、それは違うと必死に否定しているのに、どうしてもその考えは払拭できなくて。

…――俺はただ、傷つくことを恐れてた。
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