『契約』恋愛

ただぼんやりと過ごすここでの時間、目を閉じれば思い出す、楽しかった『契約』の日々…。

隣にいた、愛しい人…。

あふれていた、笑顔…。

これは美しい思い出のまま、私の胸の中に留めておこう。

それは不確かな未来よりよっぽど確実で、永久に消えることのないものだから…。

それで、いいんだ。
これで、いい。

明らかに感じる体の衰えと途絶えることのないめまいと頭痛に、一層その思いは強まる。

永くはない《命》

見えない《未来》

私が選んだ《独り》…

誰かが傷つくくらいなら、私は独りで構わない。闇を背負い苦しむのは、私だけで十分だ。

大好きな人たちには私の分まで、ずっと笑っていてほしいから…。
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