『契約』恋愛

side:/ YUKINO


“…――約束だよ。”

そうは言ったものの、期待なんてしてなかった。

こんなフラフラした私に、明日さえも危うい私に、外出許可なんて下りないくらい、容易に予想できたから。

生きたいのなら、風春と少しでも一緒にいたいのなら、ここから出るべきではない。そんなことはわかってるの。


「雪乃、もうすぐ2時よ。」


凛からお見舞いで貰った花を花瓶に生けているお母さんの声で、つい先日のことに思いを馳せていた私はふと我に返った。

今日は2時に先生に呼び出されている。
何やら、今後の治療方針とかを改めて検討するらしいんだけど…。

ベッド横の棚に置いてある時計に目線を移すと、確かに長針が12に近付きつつあって。


「うわ、ホントだ。…じゃあちょっと行ってくるね。」


ベッドから降りながら、お母さんにそう告げる。出口に向かう私の背中を、お母さんの心配そうな視線が追った。
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