『契約』恋愛

side:/ KAZAHARU


モヤモヤして、何か胸につかえているような気分のまま放課後を迎えた。教室の掃除を終えて玄関へ行くと、目に入ったのは下駄箱を背に立つ雪乃の姿。

多目的室の掃除当番の彼女の方が、俺より掃除を終えるのが早かったらしい。


「わり。結構待った?」

「ううん。私も今終わったばっかだよ。」


そう言いながら雪乃は、首を横に振ってニコリとほほえんでくれるから。
思わず俺もつられて笑い返す。

…でも、何か俺、変だ。
雪乃の笑顔を見た瞬間、何も思ってないはずなのに、なぜだかドキッと音を立てた胸…。
どうしてかなんてわからないけど、その笑顔が見ていたい、そんな気持ちがあふれだす。
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